アドラー心理学を活かした、子どもの勉強への関わり方

育児

宿題や勉強を始めない・集中できない・テストで落ち込んでいる時の声かけ

子どもが勉強を始めない、適当に済ませる、テストの結果に落ち込む。そんな場面に直面したとき、親としてどう声をかけるべきか迷いますよね。叱っても、励ましても変わらない…そんなときに役立つのが、アドラー心理学に基づいた声掛けの考え方です。

この記事では、具体的な困りごと別にアドラー式声掛けの実践法を紹介します。


勉強をなかなか始めない子どもへの声掛け

子どもが勉強を始めない理由

勉強を始めない子どもにはさまざまな理由があります。

  • 何から始めたらいいかわからない
  • 面倒くさいと感じている
  • 過去に怒られた経験があり、やる気が起きない
  • 勉強する意義を感じていない
  • 自信がない

子どもは「今の気持ち」を最優先に行動します。大人が考える「やるべきこと」が、子どもにはただの「面倒ごと」に見えているかもしれません。

アドラー心理学に基づいた声掛けのコツ

アドラー心理学では、「課題の分離」「勇気づけ」「共同体感覚」が大切にされています。

子どもがなかなか勉強を始めない時の声掛けは、以下のような言葉が効果的です。

■ 例:「自分で始められると、気持ちいいよね」

これは「主体性」を尊重しつつ、「やるかやらないかはあなたの課題だよ」と伝える言葉です。

■ 例:「何から始めるか決めてみる?」

勉強に取り掛かれないのは、スタートのハードルが高いからかもしれません。選択肢を与えて、自分で選ばせることで行動に移しやすくなります。

■ 例:「5分だけ一緒にやってみようか」

最初の一歩を後押しする声かけです。行動を始めれば、そのまま集中することも多くあります。


宿題を適当に済ませているときの声掛け

よくある様子

  • 字が雑
  • 答えを写している
  • 明らかな間違いが多い

アドラー式のアプローチ

子どもが適当にやっているように見えても、まずは「取り組んでいること」を認めることが大切です。

■ NG例:「なんでこんなに雑なの?」「ちゃんとやって!」

これでは子どもは責められたと感じ、「どうせ自分はダメだ」と自己評価を下げてしまいます。

■ OK例:「がんばって終わらせたんだね」「自分でやってみたんだね」

このような言葉で一度子どもを認めたうえで、次のように声をかけましょう。

■ 例:「どこが難しかった?」「どこが一番頑張った?」

取り組みのプロセスに注目することで、子どもが「考える」ようになり、自分ごととして捉えやすくなります。


自宅学習に集中できないときの対応

よくある行動

  • 勉強の途中で他のことを始める
  • 課題が終わっていないのに別のページを始める
  • ノートを開いているが手が止まっている

声掛けと環境づくり

集中できないのは、子どもの意志が弱いからではなく「集中できる環境」が整っていない可能性もあります。

■ 声掛け例:「次は何をやろうとしてたの?」「もう少しで終わりそうかな?」

問いかけることで、自分の状況を振り返るきっかけになります。

■ 環境の工夫

  • 時間を区切ってタイマーを使う
  • 終わった課題にシールを貼って可視化する
  • 音や視覚の刺激を減らす

行動をコントロールするためには、「自分がコントロールできる環境」が必要です。


テストの点数が悪かったときの声掛け

子どもが落ち込んでいるときに

テストの点数が悪くて落ち込んでいるとき、親が慌てて励ましたり、なじったりしても逆効果です。

■ NG例:「ちゃんと見直さないから!」「次は頑張ろうね」

励ましのつもりでも、子どもは「自分を否定された」と感じることがあります。

■ OK例:「悔しい気持ち、あるんだね」「ここまで頑張ったこと、私は知ってるよ」

まずは気持ちに寄り添うことが何より大切です。

うっかりミスが多いときは

■ 声掛け例:「どこがもったいなかったと思う?」「自分で気づいたことある?」

子ども自身に振り返りを促すことで、自分の学びに変えていけます。


100点を取ったときの声掛け

結果よりも「過程」に目を向ける

アドラー心理学では「褒める」よりも「勇気づけ」が重視されます。100点を取った時こそ、以下のような声かけが有効です。

■ NG例:「すごい!100点なんて天才!」

これは結果だけを評価しているため、次に失敗したときに自己否定につながります。

■ OK例:「わからなかったところ、自分で解けるようにしたんだね」「毎日コツコツやってたもんね」

努力や工夫を認めることで、自己効力感が育ちます。

親の役割は「支配者」ではなく「協力者」

アドラー心理学では、「課題の分離」という考え方があります。
勉強もテストも、あくまで“子ども自身の課題”であり、親はそれに「関心をもち、支える存在」であるべきだとされます。

  • 「私が全部管理しなきゃ」
  • 「勉強させなきゃ」

と思いすぎると、子どもの主体性は奪われ、親も疲れてしまいます。


まとめ

アドラー心理学をベースにした声掛けでは、「勇気づけ」「共感」「課題の分離」がキーワードです。
子どもがつまずいているときにこそ、評価ではなく「信じているよ」「見守っているよ」というメッセージが力になります。
テストの点や宿題の完成度に一喜一憂するよりも、「取り組む姿勢」「考える力」「工夫する心」に注目することで、子どもは自然と自信とやる気を取り戻し、日々のちょっとした声かけが、子どもの自己肯定感と学ぶ意欲の土台をつくっていきます。

親の一言が、子どもの心に残る大きな支えとなりますように。

コメント

タイトルとURLをコピーしました